上位蜃気楼による分光(色分散)事例
幻氷の分光(色分散)に関連して、ほかの上位蜃気楼での例を紹介します。
この記事は、幻氷が分光で虹色に見える理由 の補足です。
尾岱沼での上位蜃気楼の分光事例
2017年2月28日6時27分 野付半島より尾岱沼方面
撮影者:日本蜃気楼協議会 大木淳一(35ミリ換算600ミリ相当の望遠レンズで撮影)
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コメント:日本蜃気楼協議会 宮内誠司 |
このように、上位蜃気楼に伴った分光の事例は、何か所かの観察地で確認されています。
他の地区での分光事例
前の記事にも書いたように、南極や、猪苗代湖、魚津での事例もあります。★参考書籍
蜃気楼のすべて!
世界一空が美しい大陸 南極の図鑑
色が白い物体や、何かに光が反射したきらめきの部分が帯状に色づくことが多いようです。
色は、青やオレンジが強く見えることが多いそうです。
前の記事でも書きましたが、蜃気楼は、空気の密度の違いにより光が曲がる現象なので、同じく空気の密度に違いで起こる分光現象が同時に起こることはあり得ます。
もしかしたら、上位蜃気楼が起きる場合は常に分光も起こっているのかもしれませんが、通常は見えていない(背景色や大きさの問題)だけなのかもしれません。
ただ、今回知床ネイチャーオフィス藤川さんが撮られた幻氷や、私が2014年に撮影した幻氷での分光事例について、他の事例にはない特徴があると個人的には思っています。
それは、「狭い範囲の色づき」が比較的「広範囲に散らばって」見えていることです。
400ミリ相当(上2枚)と600ミリ相当(下1枚)、倍率が同じになるよう調整してからトリミング |
日本蜃気楼協議会の皆さんからも色々意見をいただきました。
それを受けて、「蜃気楼として見える物体が流氷であるため、その形状や白い色、海のきらめきなど、複合的な条件が合わさることで見えているのでは?」というのが私の現時点での考えです。
通常では狭い範囲でしか色づいて見えない分光が、偶然、広範囲で見えているのかもしれません。
いずれにしろ、蜃気楼の分光に関する事例は、まだまだ整理できていません。
大気光学現象の中でも、虹や環水平アークのように、さまざまな色が付いて見える現象は人気が高くて、とても魅力的ですよね。
今後も上位蜃気楼による分光の撮影事例を増やして、議論を続けていきたいテーマです。
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