蜃気楼とドラえもん
私のツイッタとか見てる方は勘付いていると思うが、私は結構ドラえもんが好きだ。子どもの頃はマニアだった。藤子・F・不二雄先生の訃報を聞いたときはショックでバイトをサボろうかと思った(でもたしか出勤はしたはず・・・)。
作者の藤子不二雄先生は、二人とも富山県の出身だ。そこで無意識のうちに、私は藤子作品と蜃気楼を結び付けてしまう。心のなかでは富山県枠として、隣同士に住んでいるというか。
そういえばドラえもんに蜃気楼の話は無かっただろうか?と調べてみたら「いないいないシャワー」という作品が該当した。
いないいないシャワーは、「いないいないシャワー」(てんとう虫コミックス第10巻に収録)に登場する。
このシャワーを浴びると本人の姿は見えなくなり、少し離れた所に幻影が見えるようになる。当然、この幻は殴っても蹴っても、果てはバイクで轢いてもびくともしない。原理は蜃気楼の応用で、シャワーが浴びた者の周囲の光が捻じ曲がるため幻影が見える。状況によっては、はたから見れば壁をすり抜けたり空中に浮いているように感じる。ただし、(原作中にそれらしきシーンはないが)本体が見えないため、本体が車などにぶつかったりする危険性はある。「クリーニングシャワー」を浴びると、この効果を消すことができる。
ドラえもんのひみつ道具 (いな-いん) wikipediaより
あらすじはこちらも。
てんとう虫コミックス第10巻 より
(前略)結局この遊びは中止になり、一安心するのび太。だがその夜、シャワーを落すのを忘れたのび太は寝ている姿の虚像が廊下に映し出され、パパ達に注意されてしまうのだった。
・・・そういえばそんな話もあったかもしれない。(次話の「お天気ボックス」にくらべると印象が薄いな)
虚像、という言葉が出てくるところに、このあらすじを書いてくれた方の素性を疑ってしまうのだが・・・(もしやお仲間?!)
この説明を読む限り、上位蜃気楼でちょっと距離が開いたところに上方反転した虚像か、まぼろしの「側方蜃気楼」の虚像のように光を曲げて実現しているのでは?と推察される。(・・・あまり実体と離すと像が縮むよな?しかも実像も消すのはシビアそうだな。・・・と真剣に考えてもしょうがないけど)
この「いないいないシャワー」は、あまり知られていない「ひみつ道具」だが、似たような有名どころの道具に、「透明マント」がある。
この透明マントが、現実世界で蜃気楼とリンクしているという記事を、先日見つけて興奮してしまった。
蜃気楼の原理を応用して、透明マントを実現しようとしている大学が米国にあるというのだ!
・・・
蜃気楼を応用した「透明マント」(動画)
動画や説明を読む限り、個体上の下位蜃気楼、逃げ水や砂漠の蜃気楼に近いようだ。周囲の空気や水面の虚像を利用して透明に見せようという考えだ。
何らかの平面を熱し、温度の境目が急になる空気層をつくれば実現できそうだけど、一瞬にして再現できるというところがすごい。(このカメラの角度以外から見たときはどうなるんだろう、という疑問は残るけど・・・)
2011年の記事なので、その後、この研究がどのように発展したのかは気になるところだ。
「透明マント」はドラえもんに限らず、いろいろなファンタジーやSFものに出てくるので、まさに人類の夢を形にする未来の道具なのだろう。他にもいろいろな実現方式が検討されているようだが
- ニコン チャンネル > 光と人の物語 > 光の駆使 > 光を操る透明マント
- wikipedia 光学迷彩
蜃気楼の原理を応用した「透明マント」が真っ先に実現したら、藤子先生たちは喜んでくれるような気がするし、
お二人が「すこしふしぎ」な話にこだわって創作を続けたのも、蜃気楼のふるさと富山で、神秘的な自然現象を身近に感じながら少年期をすごした影響が少しはあるんじゃないか?と、密かに思っている。
ちなみに「キテレツ大百科」には「蜃気楼鏡」という発明品が出てくるようで、アニメ主題歌の歌詞にもなっている。
キテレツ大百科(1)/しん気ろうでやっつけろ キテレツ大百科の発明道具/蜃気楼鏡(しんきろうきょう)
(子どもの頃何回も読んだのに、こちらもすっかり忘れている・・・)
藤子作品に登場する蜃気楼の話題を拾い集めるのも面白いかもしれない。
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