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幻氷の定義

By 11:55:00 , , ,

幻氷 2014/4/14


なんとか冬の蜃気楼シーズンに間に合うようにと、しんきろう速報を公開しました。

肝心の冬の上位蜃気楼はあまり出ませんが(汗 速報システムにはいろいろ好反響(あきれられている?)をいただいてます。

さて、冬の蜃気楼→幻氷シーズンになると、私達シンジケート部員を悩ますのが、幻氷の定義についての質問です。

流氷の蜃気楼にはいくつか種類があって、中でも、暖かい空気が冷たい海に流れ込むときに発生する、春の上位蜃気楼のみを幻氷とする。というのが私達の整理です。


流氷の下位蜃気楼、いわゆる「空飛ぶ流氷」「宙に浮いている流氷」は、海が開いているときに冷たい風が吹くと発生します。これは幻氷ではありません

こちらもみてね→幻氷とは?(知床博物館サイトへ)

・・・私達も、最初はよくわからず、師匠であるO先生から丁寧に教えていただいたのですが、今では、この定義に絶対の自信があります。

しかし、なかなかややこしい部分もあり、人に説明するのが難しい。

昨年発行された、わが斜里町が全国にほこるミニコミ誌(リトルプレス)「シリエトクノート」9号で、私は幻氷と「空飛ぶ流氷」(流氷の下位蜃気楼)のちがいを、わかりやすーく!紹介しました。・・・

なにしろ、A5版2ページにこの話題を収めるために、1年くらい、何を書くか、密かに構想を練ったのです・・・

(*>ω<*) (あれでも!)


・・・まあ、それでもわかりにくいものはわかりにくい。

機会あるごとに、面倒がらずに説明をしていかなければ。とは思っています。

そして、もちろんあの2ページに書ききれなかった、水面下の思いもたくさんあります。

今日は、幻氷を春の上位蜃気楼のみ、と定義することのメリットを、歴史的な経緯を含めて書きたいと思います。


「幻氷」という言葉が、一般の人に広がったのは、昭和50年前後ごろ、流氷の本の著者で有名な、菊地慶一さんが本で紹介したのが最初とされています(「蜃気楼有情」より。北日本新聞社 昭和56年刊)。

そのころ発行された書籍を見ると、幻氷について、いずれも春の上位蜃気楼の特徴を示した説明がされています。

  • 「4月から5月の晴れた日に出る」
  • 「冷たい海に暖かい空気が流れ込んで発生する」
  • 「白いビルが浮かんでいるように見える」


「午前10時から午後3時ごろに良く出る」という具体的な記述も。

また、当時の写真は、明らかに上位蜃気楼とわかる、バーコード状・板塀状の、上端が真っ直ぐそろっているものが多いのです。

ところが、時代が下るにつれて、下位蜃気楼である「空飛ぶ流氷」の写真や説明が混在してきます。

これにはいくつか理由があると推測しています。


  • 蜃気楼に上位蜃気楼・下位蜃気楼という区別があり、違う気象条件で発生することが、当時ほとんど知られていなかった
  • 1990年代、流氷量が激減し、冬の寒い時期でも海が「開いている」ことが多くなった。結果、流氷の下位蜃気楼を目にする機会が増えた
  • 流氷量が減ったことで、春遅くまで海岸付近に残る流氷が減った。暖かい空気が流れてくる4月5月に、流氷が無いので、「本来の幻氷」を見られる機会が減った
  • インターネットや、低価格な望遠カメラの普及により、流氷の下位蜃気楼(規模が小さく、肉眼ではよくわからないことが多い)の写真が人々の目に触れる機会が増えた


また、これと同調するように、地元の人々の心から「幻氷」「しんきろう」という言葉が消えていったように感じます。

以前、幻氷、蜃気楼の認知度アンケートや聞き取りを斜里の方(一部、網走)に行った際、50代、60代以上の人は良くご存知の様子でしたが、40代以下の人たちは、最近まで知らなかった人や、全く知らない、という人が多かったのです。

流氷が減り、幻氷を目にするチャンス自体が減ったのも、幻氷が忘れられた原因かもしれませんが、幻氷の「輪郭」がぼんやりしてしまったことも定着しなかった原因ではないか、と思っています。

先ほど触れた「蜃気楼有情」という本にも、網走の観光協会の方が、「幻氷を観光資源としてPRしたいが、予知が難しく、いつ現れるか返答ができない」と困っている様子が紹介されています。

もし、「幻氷は春の上位蜃気楼なので、富山の蜃気楼のなかま。冷たい海の上に温かい風が流れ込む、風の穏やかな日に発生する、春の風物詩」という詳しい知識が当時広まっていれば・・・

地元の人たちの心にも、もっと強い印象を残したのではないか?と・・・・

さらに危惧しているのが、現在インターネットですぐに拡散する情報です。

「空飛ぶ流氷」の説明が幻氷と混在され、「流氷の蜃気楼は全て幻氷」という説明が増えてしまうと・・・・

ふたたび、幻氷はその輪郭を曖昧にし、ほんとうの姿を私達から隠してしまいます。

あまり珍しくない現象と、とても珍しい現象を混ぜてしまうことにもなるし、性格の違うものを一緒にしたら、予測なんてできなくなってしまいます。


これが植物や動物など、形あるものなら、標本が取れるので動かぬ証拠となるのですが・・・

形をとどめられない、幻氷の記憶を人々にとどめるために、まずは春の風物詩 幻氷=春の上位蜃気楼。という定義を、うるさいと言われようと、口をすっぱくして言い続けたい。

そのことが、回り道のようでいて、実は、幻氷をみんなにもっと知ってもらうためには絶対必要だ!と密かに確信しています。


・・・以上、長くなってしまいました。

でも、幻氷の定義にまつわる話なら、たぶんあと3話くらい書けると思います(笑)ごめんなさーい。

ではまた。





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